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あなたのすぐそばに
 岩手県に「座敷わらしの宿」とうたう緑風荘があります。この緑風荘が火事で母屋・新館ともども全焼したのは、今から6年前のことです。そう聞いて、「おや、座敷わらしがいるなら、なぜ火事という災難に?」と思われたでしょうか。同じような疑問を感じた新聞記者が、緑風荘の経営者から次のような答を得ました。

「実は母屋も新館もだいぶ土台が傷んでいたんです。改修しなければいけなかったけど、3年先まで予約が切れずに入っていたので、できなかった。火事は東日本大震災の1年半前ですが、あの地震がきたら倒壊して犠牲者が出ていたと考えられます。また直前は満室がずっと続き、働いている家族は休みが取れずにいつ倒れるかという状態でした。火事で犠牲者は一人もいませんでしたし、旅館だけが燃えて、すぐ隣の家には延焼しませんでした。後から考えると火事になったことで助けられたというか、守られたとさえ思います」
 また、火事については「私にとっては悪いことではなく、再生のきっかけだと思っています」と語られました。
 火事を「災難」と見るか、「再生のきっかけ」と見るかで、生き方が変わるのです。


 日蓮聖人は、お手紙で
「法華経の一文字一文字は、仏様です。ですが、私たちがこの目で見ると、ただの文字にしか見えません。(略)法華経の一文字一文字を、声聞(しょうもん、自己の悟りのみを追求する修行者)や縁覚(えんがく、ひとりひらいた悟りを他人に説こうとしない聖者)は虚(むな)しいと、菩薩はたくさんの教えが詰まっていると見ます。そして、仏様は一文字一文字を金色のお釈迦様とご覧になります。」(『曽谷入道殿御返事』意訳)
と仰っております。

 4年間続いた「『お自我偈』色読運動」(新潟西部檀信徒協議会重点活動)も5月1日で終わりました。そのお自我偈には、
「悪い因縁を持っている人は、長い時間を費やしても、仏様の名前すら聞くことが出来ない。一方、一所懸命修行し、穏やかで正直な人は、教えを説くお釈迦様にお目にかかることが出来る。」(是諸罪衆生…在此而説法、趣意)
とあります。
 法華経の一文字一文字を「ただの文字」と見るか、「仏様」と見るかで、生き方が変わるのです。

 あなたのすぐそばに仏様はいらっしゃいます。このことを自覚するための信仰に、また今日から精進してまいりましょう。


参考文献:東スポWeb/2014年11月23日09時00分『全焼から5年「座敷わらしに会える宿」の今』なお、本リンク貼付にあたり、東京スポーツ新聞社様より許可を頂きました。お礼申し上げます。
所報『佛心伝心』第43号より

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